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田園調布動物病院

お知らせ

フェレットの病気(尿石症・インスリノーマ・腫瘍)

飼育している動物を病気にさせたくないのは飼い主さんだれもの願いです。フェレットは家畜化されての歴史が、他のエキゾチックアニマルと比べてとても古く、また多くの疾患が知られています。リンパ腫やインスリノーマなどの腫瘍や、ホルモンバランスが崩れる内分泌疾患などは比べても比較的遭遇する機会の多いといえます。
フェレットは比較的体力もあり、慢性消耗性疾患には強い一面がありますが、それでも体が小さい分、病気が進行してからの回復はなかなは難しい動物です。したがって、体調になにかおかしな変調がみられたら様子をあまり見ずに病院へと相談しましょう。



■尿石症

フェレットは猫と同様、尿石症が多い動物ですが、最近では栄養面が改善されたため、今では少なくなってきているようです。好発年齢はありませんが、尿道が細い雄では、砂状の結石が詰まり尿道の閉塞をよく起こします。
結石の中でもストルバイトによるものが多く、膀胱炎を併発している場合も多いようです。ストルバイトの原因は、はっきりしたことは分かっていませんが、ドックフードなどに含まれている植物性蛋白質が尿のpHを上げることにより、アルカリ尿で生産されやすいストラバイトが生産されやすくなると考えられています。これらの要因以外にも、細菌感染によるもの、また遺伝的素因があるのではないかといわれています。

【症状】

尿路の閉塞が無い場合には、頻尿、血尿をはじめ、尿漏れによっていつも会陰部が濡れていたり、舐めて気にしているなどの行動が上げられます。閉塞の状態になってしまうと排尿困難からいつもトイレで尿を出そうとする仕草が見られるようになります。また性格が荒くなったり、鳴き声をあげることもあります。長く続けば食欲不振、沈鬱などをひき起こします。


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尿に含まれた結晶       膀胱内の結石(矢印)

【治療】

尿路の閉塞の有無に関わらず、補液などの輸液療法を行い、閉塞している場合には一時もはやく閉塞した尿路を解放する必要があります。雄のフェレットでは、陰茎骨が曲がっているために、尿カテーテルの挿入にテクニックを要します。どうしても排尿できない緊急事態には、膀胱穿刺や膀胱切開術を行う必要があります。雄で再発を繰り返す場合には、会陰尿道瘻術を施すこともあります。ストルバイトの予防には、尿pHを下げておくように良質の動物性タンパクを与えるようにします。猫の尿石用のs/dなどの処方食は、嗜好性が悪いことやフェレットに対して十分なタンパク質を含んでいないことからいまのところあまり現実的ではないようです。


■インスリノーマ

インスリノーマは、すい臓のベータ細胞が腫瘍化を起こし、そこからインシュリンを過剰に分泌してしまう病気です。インシュリンは、血糖値を下げるホルモンですので、インシュリンが多くなると、血糖値が下がってしまい、様々な症状を現わします。放っておいて、長期に低血糖状態が続くと、神経や脳にダメージを与え、最悪は死んでしまう病気です。インスリノーマは副腎疾患と併発することも多いといわれています。

【症状】

初期のころは特別症状も見られませんが、なんとなくだるそうにしている、元気が無い、寝ている時間が長くなるといった症状があります。また、因果関係ははっきりしていませんが、治り難い下痢が続くこともあります。さらに血糖値が下がると、震え、痙攣、発作、急にグッタリしてしまう、悲鳴を上げる、などの症状がでます。

【治療】

治療には、腫瘍ですので大きく外科的治療、内科的治療の2通り、もしくは組み合わせて行います。外科的治療は、腫瘍化したすい臓の一部を切り取る手術をします。ただし、すい臓は繊細な組織ですので手術は慎重に行わなければなりません。内科的治療は、血糖値を上げる薬や腫瘍化したすい臓の細胞を破壊する薬などを用いて治療し、定期的に血糖値を測定し、薬の量を調節します。インスリノーマになってしまった個体では空腹時間が長くなると低血糖を起こしやすいので、頻回に食餌を与えるように心がけましょう。


■腫瘍

フェレットは比較的腫瘍疾患に罹患してしまうことの多い動物といわれています。一般には中年期から老年期にかけて発現することが多く、いままでに様々な腫瘍が報告されています。副腎の腫瘍(「フェレットの副腎疾患」で詳しく説明)をはじめ、若い個体でも見られるリンパ腫、肥満細胞腫などがよく知られています。
腫瘍になりやすい原因としては、遺伝的要因や早期に行う避妊、去勢手術によるホルモンバランスの不均衡によるもの、自然の日照時間あるいは日光浴の欠如、ウイルスなどの感染症によるもの等が考えられていますが、犬猫と同様、はっきりとした原因を特定することは難しいようです。
やはり犬猫と同様に、腫瘍と診断したフェレットには、充分な身体検査を行い、治療方法、予後をあらかじめ予測して、飼い主さんに充分な説明をしなければなりません。

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お尻にできた腫瘍


■その他の病気

診察するなかで、よく見かける病気として、老齢個体や柔らかいフードを好む個体に多い歯石や歯肉炎、歯の破損よって引き起こされる歯髄炎があります。また飼育管理の初歩的な過ちによって異物を誤食することによって起きる異物による腸閉塞、夏の時期の不注意によっての熱射病、日射病なども起こしやすいです。これらの病気のほとんどは飼い主さんの飼育のちょっとしたミスや勘違いなどから起因することが多いようです。