モルモットの身体は、毛が生えていない短足の手足、細長い体躯をもつなどネズミ型げっ歯類と比べると随分趣が異なります。
動きも他のげっ歯類と比べるとどことなくぎこちなく、嫌なことをされるとキーキーと鳴いて訴えるかなり個性派の小動物をいえます。
そんなところが愛されるのか、ハムスターなどと比較しても決して飼育人口は多いとはいえませんが、熱心な飼育者も多いのも事実です。
いくつかモルモットにもいくつか身体的特徴がありますので簡単に解説しておきます。
●モルモットの解剖学
モルモットにはハムスターのように頬袋はなく、歯式は以下の通りです。
I(1/1);C(0/0);PM(1/1);M(3/3)
Iは切歯、Cは犬歯、PMは前臼歯、Mは後臼歯で計20本の歯を持ちます。
切歯も臼歯も常生歯で生涯伸び続け、ウサギなどと同様に不正咬合、過長歯を引き起こすことがあります。
他のげっ歯類の切歯は黄色っぽい色をしていますが、モルモットの正常な切歯は白いのが特徴です。モルモットの上顎の臼歯は外側に向かって傾き、下顎の臼歯は舌に向かって内側に傾いています。
胃は単胃で、盲腸は長さ15~20cmほどで胃腸の内容物の半分以上を盲腸が占めています。
モルモットにはマーキングを行うため肛門周囲に皮脂腺が存在しており、時折、臀部を物に擦り付ける行動が見られます。尻尾は、ほとんど長さはないので外観的に判りにくいですが、尾椎は存在しています。
雄は陰茎骨を持ち、雄雌ともに鼠径部に1対の乳頭があります。
前肢の指は4本、後肢は3本になっており、また足の裏には毛が生えていません。
モルモットの生理学的数値を列記しておきます。
成熟体重オス 900-1200g
成熟体重メス 700-900g
体温 37.2-39.5℃
呼吸数 42-104回/分
寿命 4-5年 まれに7年
餌消費量 6g/体重100g/一日
水摂取量 10ml/体重100g/一日
発情周期 15-17日
妊娠期間 67-72日
●生活史
モルモットは夕暮れ時や夜明け前に活動的になり餌をあさります。木々の根元の間や岩場を巣穴として生活しています。基本的に5~10頭ほどの群をつくり、雄1頭に対して雌4~5頭のハーレムをつくり階級社会を形成しています。寿命は飼育下では5~7年ほどです。
モルモットの生理的な特徴として、人やサルなどのように体内でビタミンCを合成することができません。これはモルモットの体にはグルコースからビタミンCを合成するための過程で必要な酵素が欠如していることによります。したがって食餌からビタミンCを摂取する必要があります。
モルモットはウサギと同じように盲腸便の食糞をします。盲腸便の中には、ビタミンB群や蛋白質が豊富に含まれており、1日に150~200回以上もの食糞をすることもあります。
【モルモットと人間は、外部からビタミンCを摂取しないと生きていけない】
●繁殖
生後2~3カ月ほどで性成熟に達します。モルモットは、季節繁殖動物ではないので1年中繁殖可能な周年繁殖動物です。繁殖を考えているのであれば3カ月~2歳ぐらいの若い個体が適しています。
発情周期は15~17日で、自然排卵をします。雌は発情期には膣が開口し、雄を受け入れます。交尾の終了後に雄の分泌物は凝固して膣をふさぎます。これはチンチラにもみられる膣栓と呼ばれ、交尾後数時間のうちにゴム状のものが脱落します。
妊娠期間は60~72日で平均2~4頭の赤ちゃんを産みます。離乳までは約21日かかります。
雌は分娩後10時間ほどで、発情・排卵が起きて再び妊娠可能な状態になります。これは、後分娩発情、ブリードバックといわれています。