受付時間
8:30-11:30
(9:00から診察開始)
15:30-18:30
(16:00から診察開始)
×

新規の受付は午前11:00、午後18:00まで
診療は午前9:00、午後16:00から
休診日:毎週木曜日午後、年末年始

お問い合わせはこちら

※最終受付時間:午前11:30 / 午後18:30

〒145-0071 東京都大田区田園調布2-1-3
アクセス情報 / E-MAIL

田園調布動物病院

お知らせ

モルモットの病気

モルモットは適切な飼育環境であればそれほど病気にはなりません。
しかし、飼育環境の不備から関連して起こる病気も多いので、適切な飼育環境を整えることが重要になってきます。




■歯の病気

モルモットはウサギと同じように切歯も臼歯も生涯伸び続ける常生歯なので、様々な歯の病気が起こってきます。野生下のテンジクネズミは草や木の根などの非常に粗繊維量の多い植物を食べています。こうした繊維質の高い餌を何度も咬合することで臼歯も摩耗されていきます。
飼育下で十分に食物繊維の含んだペレットが与えられてない場合には、切歯の不正咬合(写真1)や臼歯のトラブルがよく見られます。
通常、臼歯にトゲ状の突起が形成され上顎では頬の粘膜を傷つけたり、下の臼歯が橋のようにつながってしまったりしての動きを抑制してしまうことがあります。(写真2)
こうなってしまうと、涎を流し食欲は無くなり、放置すると衰弱していきます。一度起きた不正咬合 によって歪んでしまった歯根や小さな頃からついた食生活を変えるのはなかなか大変で、定期的に麻酔下での臼歯の研磨が必要になります。

gp_byo_01.jpg

写真1:伸びすぎた切歯(前歯)。餌をうまく食べれなくなる

gp_byo_02.jpg

写真2:臼歯(奥歯)が伸びすぎて咀嚼(ものを噛み砕くこと)ができなくなり、涎が出る

gp_byo_03.jpg

写真3:臼歯から細菌感染を起こし、膿瘍(膿の塊)が出来てしまった症例。


■皮膚の病気

モルモットの皮膚疾患は他のエキゾチックアニマルのなかでも目にする機会が多いといえます。
ケージ内の不衛生な環境や固い床での飼育が原因で足底部に潰瘍が発生して、二次的に感染が起きると肢端に膿瘍(写真3)を形成します。
治療には抗生物質などの投与のほか、牧草を敷き詰めて柔らかい床材に変えたり、通気を良くするなどのして飼育環境を見直す必要があります。
また、モルモットは皮膚糸状菌症(カビが原因で起きる皮膚病)が見られることもあり、かさぶたや痒みをともなうこともあります。皮膚糸状菌症は幼若な個体や飼育環境の不備、栄養素のバランスが崩れ免疫力が低下した個体でみられることが多いようです。(写真4)
外部寄生虫も比較的多くハジラミ、ズツキダニ、センコウヒゼンダニなどがみられます。なかでもセンコウヒゼンダニの感染を受けるとフケが多くなり、モルモットは非常にかゆがり掻きむしってしまい二次感染を引き起こします。

gp_byo_04.jpg

写真4:足の裏に細菌感染を起こし、膿をもって腫れてしまった状態

gp_byo_05.jpg

写真5:皮膚糸状菌症。脱毛とカサブタを特徴とする皮膚炎がみられる。


■消化器の病気

粗繊維量が不足すると正常な胃腸の機能が崩れ、下痢や便秘が起こります。繊維質の高い食餌を常に心がけるようにします。またウサギと同様に、腸内細菌叢のバランスが非常に重要で、誤った抗生物質を使うと腸性毒血症という状態に陥り最悪は死んでしまいます。
モルモットは胃の出口が狭く嘔吐ができないため、長毛種ではまれに毛球症(写真5)を引き起こします。短毛種は特にまめなブラッシングは必要ありませんが、長毛種は毎日ブラッシングを行うよう指導をします。

gp_byo_06.jpg

写真6:毛球症のレントゲン写真。胃に内容物がたくさん入ってガスが溜まっている


■ビタミンC欠乏症

有名な病気としてモルモットのビタミンC欠乏症があります。ビタミンCの欠乏により、歯の象牙質の変性、骨の変形、歯肉炎、後ろ足の麻痺(写真6)などが起こってきます。モルモットは1日に体重1キロあたり5~20mg、妊娠中などでは30mgのビタミンCが必要といわれています。 また、歯の病気や毛球症でも慢性的にビタミンCが不足するとされています。
ビタミンCは劣化しやすく、長期保存されたペレットにはほとんど含まれなくなってしまうので、新しいペレットを心がけ、必要であれば給水ボトルにビタミンの粉末を溶かしたりして補給するようにします。

gp_byo_07.jpg
写真7:後肢の麻痺を起こしてしまったビタミンC欠乏症


■骨折

モルモットの骨折は、ウサギやチンチラなどと比べると遭遇する機会は少ないと考えられます。チンチラやウサギは、外敵に襲われた際、草原や岩の間を跳ねて逃げるため、骨は軽量に作られているので物理的な力に弱い一面があります。また、実際の飼育下でもウサギやチンチラの立体的な予測不可能な動き考えると、モルモットは水平方向のみの移動に徹しているため、ケージに肢をはさんだり、自ら高い所に上って落ちる、などといった骨折事故は少ないと考えられるからです。
が、抱いていて落とした、踏んずけてしまった、ドアに肢を挟んだ、などといった飼い主の不注意による人為的行為に骨折を起こすことがあります。したがって、そのようなことがないように最新の注意をはらって、スキンシップを楽しみましょう。

gp_byo_08.jpg

写真8:ドアで足を挟んでしまい大腿骨骨折を起こした症例

gp_byo_09.jpg

写真9:骨髄ピンとワイヤーで固定し2ヶ月後に完治した