うさぎさんのよくある病気に胃腸疾患があります。
来院するうさぎさんの約半数近くが、この病気で来院します。
うさぎさんは、複雑な胃腸のシステムを持っています。
その、システムのバランスが崩れたときに、この病気になります。
かつては、毛球症とひとくくりにされていましたが、
必ずしも、お腹のなかに停滞した「毛」だけが原因ではありません。
毛が溜まっている、という状態はすぐには判りませんので、それらを
まとめて、獣医学的に胃腸うっ滞と言ったり、鼓腸症と言ったりして先生によって違います。
あまり病名にこだわる必要はありません。(あまり意味が無いからです)
お腹の中を見るための、レントゲンの勉強をしてみましょう。
ふつうは、麻酔をしないで、うさぎさんを軽く押さえて写真下のように撮影します。カシャ♪
イラストです。
臓器の位置関係はこんな感じです。
現像をしますと、こんな風に写ってきます。
これは、正常な個体のレントゲン写真です。
これでは、あまりはっきりしていませんね。
はっきり判らないのが正常なのです。
では、次ぎ。正常なうさちゃんに
バリウムというレントゲンに白く写る液体を飲ませたレントゲン写真です。
胃から盲腸にバリウムが流れ込み、盲腸から直腸かけて大きなウンチが並んで
ウンチが出そうな状態になっているのが判ります。
これは健康で正常です。
では、これはいかがでしょう?
胃や盲腸に多量のバリウムが溜まり気味で、ウンチもゴマ粒のように小さいのがわかります。
これは、胃腸うっ滞、盲腸便秘、と呼ばれる状態です。
こうなってしまうと、食欲も少なく、ウンチも小さいです。
では、これはどうでしょうか?
なにやら、胃と盲腸の部分が黒くなっていますね。
黒い部分は、ガスが溜まっているのです。
異常な発酵を起こしていることが判ります。これでは、餌は食べないです。
慢性的な状態(鼓腸症)のことが多いです。
最後にこの写真。
胃の部分が大きくなっており、真ん中が黒く抜けているのが判りますか?
これは、「急性胃拡張」という状態です。
うさぎさんはある時、とつぜん餌を食べるのをやめ、ジッと伏せて動かなくなります。
拡張した胃のため、激しい痛みに襲われており、緊急性の高い状態です。
適切な治療を行ったとしても数時間~数日で死亡することもある怖い病気です。
早めの受診が必要です。
治療には鎮痛剤の投与や体液組成の調節が必要です。
以上、ざっとうさぎさんの胃腸のレントゲン写真を説明しました。
動物病院で説明を受けるときの参考にしてください。
うさぎの消化器官は繊細です。
ストレスが強くかかったり、想定外の食べ物が入ると、
とたんに異常な発酵、機能不全になります。
うさぎを健康に飼うことは、すなわち、健康な消化器官を保つこと。
予防は、簡単なようで難しく、
なるべくストレスをかけず、良質の牧草を多く食べてもらうこと、良質ペレットを与えることです。
遠くに連れ回したり、クッキーなどのおやつ類はあまり与えないようにします。
これが、全てといっても過言ではありません。