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田園調布動物病院

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チンチラ -総論-

●チンチラの分類と生態

チンチラは、げっ歯目のチンチラ科に属しており、ヌートリアやモルモットなどと近縁げっ歯目の仲間です。一口にチンチラと言っても、外見や生息環境の違いから3種類(Chinchilla lanigera, Chinchilla brevicaudata, Chinchilla costina )が知られています。分類する学者によって、それらをそれぞれ独立種として扱ったり、単に亜種レベルの違いでしかないという意見もあります。その3種類のうち、ペットとして飼育されているチンチラのほとんどはLanigera種といわれています。
チンチラは、南アメリカのペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチンにまたがるアンデス山脈の標高4500メートルまでの寒冷な高地に分布しています。生息地の年間平均気温は2℃と涼しく、湿度もとても低い地帯で、岩場の多い荒れた土地に集団で社会生活を行っています。チンチラは主に夜行性で、昼間は岩の割れ目の中で休み、夜になるとその岩と岩の間をピョンピョンと跳ね移動をして餌を探します。このような生息場所はとても痩せた土地なので、低木の根や樹皮、皮、枯れ草やサボテンなどのとても栄養価の低い餌を食べて暮らしています。水分にも乏しく、岩棚に溜まった水や夜露で濡れた水滴を飲んで暮らしています。


●チンチラの歴史とそのルーツ

チンチラは、そのような寒冷な過酷な生息環境に適応するため、一番の特徴である美しく厚い被毛を持つようになりました。そして、この美しい被毛を人間の生活の中ではじめて用いたのは先住民族であるインディオの人々でした。とても寒い地域で生活するインディオの人々は、防寒の為に保温効果の高いチンチラの毛皮を主にコートや衣服として用いていました。そして1500年代に入り、ヨーローッパ人は、この地がスペインによって制圧されるようになったときインディオたちが身につけているこの美しいチンチラの毛皮に目を付けました。そして美しいチンチラの毛皮をヨーロッパへ持ち帰ったところ、たちまち王族に珍重されたことから、捕獲が始まってしまいました。チンチラの被毛を用いた毛皮のコートを作るために乱獲を続け、1900年代初頭には一時的に絶滅に追いやられることがありました。
しかしながら現在、野生のチンチラは、絶滅の恐れのある野生生物の国際取引に関する条約(ワシントン条約)の中でもっとも厳しいランクである付属書?にリストアップされ、学術目的以外の国際間の取引は禁止されています。その甲斐あって、国ぐるみの保護によって野生下のチンチラは徐々にその数を増やしています。私たちが日頃、ペットショップで見かけるチンチラは野生個体のものではなく、飼育下で繁殖されたものなのでワシントン条約付属書?の対象にはなっていません。 ペットとしての最初のチンチラ飼育は、1918年にチリで鉱山技師として働いていたM. チャップリンという男が、インディオから1頭のチンチラを譲り受けたことに始まったといわれています。
チャップリンはチンチラに魅了され、1923年に3年がかりで集めたチンチラ11頭をアメリカ合衆国へ持ち帰ることに成功しました。その後になってチンチラの繁殖に成功し、その11頭が元親となって世界各地へ輸出されることになりました。我が国へはじめて導入されたのは愛玩を目的として1961年のことと言われています。その後の1970年 代から実験動物として利用されるようになったり、毛皮獣として繁殖が試みられたこともありました。しかし現在日本では獣皮毛目的での養殖などは行われていません。


●ペットとしてのチンチラ

チンチラは他のげっ歯類と同様に野生下ではワシやキツネや他の肉食動物に捕食される被捕食動物であることから、用心深く、驚きやすい動物です。しかし一方で好奇心が強く、きれい好きで臭いもほとんどなく、また大きさも手頃なことから都会派のペットと言えます。幼い頃からうまく慣らすことで、人にとてもなつくようになります。チンチラが一般のペットショップで見かけるようになったのは、つい最近で1990年代に入ってからです。まだその当時は、とても高価な動物であるうえに飼育に関する情報が少なく、また餌の面や飼育に必要な周辺器具が少なかったことから、単にかわいい、珍しいという理由で飼った方は最終的に残念な結果になってしまったことも多いようです。
最近では、チンチラに関する書籍やインターネットの情報も多くなり、飼い主さんたちの認識もかなり変化してきたようです。しかし一方でまだまだ誤解を受けることが多い動物なのも確かです。チンチラはその特殊な生息環境からペットとして飼育するには他のげっ歯類と比べてちょっとしたポイントようなものが必要です。独特の生態や習性も多く、特に夏場はエアコンで温度や湿度を管理するなど、いろいろ気を使わなくてはなりません。
それらを理解したうえで飼育しないといずれは病気にしてしまうことになります。


●チンチラの品種

野生のチンチラは、アグーチと呼ばれる明るいグレーを基調としています。
基本的にはグレー一色のチンチラですが、ペットの品種としてのチンチラは、突然変異の色彩を交配させたり、ある色に着目してそれらの世代を重ねることにより固定化したもがあります。普通、ペットショップでは、グレー、ベージュ、ブラックベルベット、ホワイト、エボニー、バイオレットなどと呼ばれる品種のチンチラがいます。エボニーやバイオレットなどはまだまだ数が少なくグレーのノーマルタイプと比べるとまだまだ高価です。
これらの違った品種同士を繁殖させると、ノーマルグレーのほか遺伝的突然変異である様々な色のチンチラが生まれてくることがあります。しかし、ホワイトやブラックベルベットの遺伝子を持った個体同士の繁殖は致死的遺伝子を含む組み合わせもあるので、あまりするべきではないかもしれません。
チンチラは日本ではまだそれほ多くないペットのひとつですがアメリカやカナダではとても人気がるペットで、毎年、国内各地で毛並みの美しさや体型を競うショー(品評会)が行われているそうです。
数ある品種の中で、どの個体をを選ぶのは、その人の好みや第一印象などで決まってくるでしょう。色によって性格が違ったりすることはほとんどないようです。