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田園調布動物病院

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フェレットの副腎疾患

フェレットの副腎疾患は、比較的多い病気で、あらゆる年齢でみられます。尾や体側の脱毛を主な症状とします。病気が進行すると頭部と四肢を除いて毛がすべて抜けてしまい、また様々な病気を引き起こします。
一般に冬から春、夏にかけての発症が多くみられ、秋に向かうと一時的に発毛などの改善傾向がみられることもあり、季節性の脱毛と副腎疾患の脱毛との区別がしにくいこともあります。
主な原因は、副腎の腫瘍(ガンやできもの)や過形成(大きく細胞が増えること)によって引き起こされます。

写真1:副腎疾患に特徴的な尾部から体側にかけての脱毛

【症状】

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副腎疾患の主症状としては尻尾から体側にかけての脱毛です。
その他に、
1)メスでは陰部や乳腺がはれたりすることも

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2)体臭がつよくなること
3)オスでは攻撃的な性格になったり前立腺が腫れたり、尿が出にくくなったり
4)進行すると、貧血、脾臓が腫れてくる、弱ってくる
5)低血糖を起こす病気(インスリノーマ)になることもあります。
などがあります。

【原因】

遺伝的な要因、日照周期の問題、早期の不妊手術により、体内のホルモンバランスが崩れることで副腎の疾患が起きると言われていますが、最も有力な説がやはり早期の不妊手術とされています。
フェレットは、交尾繁殖動物であるために、交尾がなされず発情が続くと、骨髄が抑制されて貧血を起こすことが知られています。そのためにペット用のフェレットは販売する前に不妊手術を受けてから販売しています。
早期の不妊は大人になってから、ホルモンのバランスを崩しやすくなる傾向にあり、それがきっかけで副腎が大きくなってしまうと考えられています。
副腎が大きくなると、そこからステロイドホルモンという性ホルモンが過剰に分泌され、それがもとで、脱毛や前立腺肥大などの症状を現わすようになります。  
             

【検査・診断】

腫瘍や過形成で大きくなった副腎をレントゲン、エコー(超音波)検査、触診などで確認します。正常は大体4ミリ以下、異常は4ミリ以上とされています。しかし、大きいと異常と言えますが、大きくないからといって異常ではないとは言えません。小さくても異常のことがあります。
また血液検査によって血液中ホルモン濃度の測定を行いステロイドホルモン3種(アンドロステンジオン、17αヒドロキシプロゲステロン、エストラジオール)を測定します。うち、1つ以上が上昇していると副腎疾患と診断します。
また、特徴的な脱毛によって暫定的な診断を下すこともできます。

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【治療】

副腎疾患の治療には、大きく分けて、手術を行う「外科的治療」と主にお薬で治療する「内科的治療」の2つの方法があります。
外科的な治療として、異常な副腎を摘出します。外科手術では、左右の副腎を摘出するのが目的ですが、右の副腎は、大きな血管(後大静脈)と接しているので難易度の高い手術になります。
内科的な治療方法としては、副腎から過剰に分泌されるステロイドホルモンを抑制するホルモン剤の注射を行います。1~数ヶ月持続する注射ですが、効果が現れるまでに時間がかかり、定期的に数回にわたり接種する必要があります。ホルモン注射は経験的に約80%以上の個体に有効ですが、副腎がガン化したものや異常に腫れてしまった場合には反応しない子もいます。
治療を開始しても副腎の大きさや脱毛、身体的な変化を時間を追って確認する必要があります

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写真2:治療開始より2ヵ月、発毛がみられる(写真1の個体)

★現在、根本的な治療としては外科的な治療が現在のところ最も効果的といわれています。しかし、高齢な個体や、病状が進行している個体、他の病気が併発している個体では、手術が出来なかったり、あまりにも副腎が大きくなってしまった場合には手術適応ではなくなってしまうこともあります。その様な場合には、ホルモン注射によって症状を緩和させることがあります。
また外科的に切除を行った後、ホルモン注射を必要とする場合ももあります。

★フェレットの副腎疾患には外科的治療や内科的なホルモン療法などその子の年齢や状態、病気の進行度に合わせたムリのない有効的な治療を選択しなけらばなりせん。また副腎疾患にともなう、前立腺疾患ややインスリノーマなど難治症例にも対応していかなければなりません。フェレットの副腎疾患でお悩みの方はお気軽にご相談ください。