ミニュチュアダックスは人気犬種で飼育増加傾向にあります。
それに伴って椎間板ヘルニアも多くみられるようになりました。
医学的な情報は詳しく出ているサイトがありますので、
ここでは、もっと実際どーなの、というようなざっくばらんな情報を
提供いたします。
椎間板ヘルニアはとても厄介な病気です。
飼い主にとっても、獣医師にとっても。
下半身がふらつく、歩きつらそう、歩けない、
などの症状とダックスという種類、簡単な身体検査で
「なんとなくヘルニア」「ヘルニアが怪しい」
という診断を付けることは可能です。
しかし、それが本当にヘルニアを起こしていて、
数ある背骨の中でどこが原因なのか特定するのは結構面倒です。
一般的なレントゲンでは、椎間板は映らないからです。
背骨の中に造影剤を入れたり、CTやMRIを撮らないと
病気の状態を正確に把握することが出来ません。
実際、MRIクラスになると、東京にはごく少数の専門施設がありますが、
地方ではMRIの撮影自体困難になります。

背骨を縦切りにしたMRI画像です。
(胸の13番目の背骨(T13)と腰の1番目の骨(L1)の間の椎間板が飛び出しています)
治療には、
内科的治療(お薬)によるものと外科的治療(手術)によるものの2つがあります。
2つにひとつという簡単な選択のようですが、
実際には、
- 内科と外科どちらが優れているかはほとんど差はない。
事実、 - 内科治療を選択しても高率に良化する。
しかし、 - 再発を繰り返す子もいる。
たまに、 - 中には外科をしないと治らない子もいる、
でも、 - 外科を行うためには、飛び出した部位の特定が必須条件、
おまけに、 - 外科は発病から手術までの時間がとても重要(早いほうがよい)
もちろん、 - 外科を行ったとしても良くならない子もいる、
あげくに、 - MRIや外科を行うと費用がかさむ。
これらを見ただけでも
飼い主様がいかに悩み倒し、
診断治療する獣医師にとってもいかにプレッシャーが高い病気だということが分かります。
具体的には
内科は発生部位の特定は必須ではなく、ステロイド剤の投薬と安静を行い経過を見ます。
外科は背骨に窓を開けて、そこから飛び出した椎間板を取り出します。

背骨を開けるのでうつ伏せの体勢をとります。

赤の平行線の内側が脊髄。下から脊髄を圧迫している椎間板を掻きだします。

これが激痛やマヒを引き起こす原因の椎間板物質。こんなに小さいものです。

術後はマッサージや水泳、レーザーなどのリハビリを行います。
いずれの治療を行うにしても、
主治医とよく相談して行ってください。
相談だけでも当院で行えますので、セカンドオピニオンにご利用ください。