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田園調布動物病院

お知らせ

チンチラの飼育管理

●給餌

・主食

チンチラに限らず、飼育する動物に与える餌を考えるときには、まず、その動物が生息地でどのような食べているのか知る必要があります。チンチラの野生の生息地は、アンデス山脈の荒れた土地の植物が少ない地域です。そのような場所で、植物の葉や根、果実、低木の樹皮やサボテンなどえられる植物なら何でも食べていると言われています。そして、そのような植物は決して栄養価に富んだものではありません。しかし、チンチラは栄養価の低い餌で十分に栄養を吸収できるようになっています。したがって、飼育下であまり栄養価の高い餌を与えると肥満気味になったりあらゆる病気の原因にもなります。
チンチラは実験動物にもなっていた動物なのでチンチラ専用のペレットもあります。しかし、一般的には入手が難しいので、ペットショップで選ぶことになります。ペットショップにはチンチラ用と銘打った餌が多く並ぶようになりましたが、全ての製品がチンチラの栄養バランスを研究して作られているとは言い難いので、植物性タンパク16~20%、脂肪2~5%、繊維質15~35%の基準をクリアしている製品を選ぶのが理想的です。

・副食

毎日の給餌はペレットを主食にアルファルファやチモシーなどの乾燥した牧草を与えるようにします。繊維質の多い牧草は、ビタミン、ミネラル、タンパク質のよい供給源となり、また嗜好性も高く、咀嚼回数も増えるので過長歯、不正咬合などの歯牙疾患の予防にもなります。
おやつは基本的に必要ありませんが、チンチラとコミニュケーションを深めたり、スキンシップをはかる際には、有効なこともあります。与えても良いおやつとしては、レーズンや乾燥バナナなどのドライフルーツや、ヒマワリの種やクルミなどの種子類です。ただし、与えすぎは禁物で、1日に一度2~3粒、人の手から与えるようにします。

・与え方

ペレットはチンチラが活動する夕方から夜にかけて与えるようにします。ペレットの給餌は、一日一回で構いません。乾燥した牧草は、床材として敷き、いつでも食べられるようにします。汚れた牧草はすぐに取り替え、いつも清潔にしておきます。
チンチラは、ペレットなど少しだけ食べては残し、それ以降まったく食べなくなることがよく見受けられます。一日に一度は、餌容器に残ったペレットは全て捨てて、新しいものと交換するようにします。新しいものと交換するとよろこんで食べはじめます。ペレットのメーカーを変えるときには、十分注意が必要です。突然すべて今までと違う餌に変えてしまうと、拒食を起こしてしまったり、下痢や便秘になってしまったりします。餌を変える際には、今まで与えていた餌に新しい餌を徐々に混ぜて、その比率を少しずつ変えていくようにします。


●砂浴び

チンチラのもつ美しい毛並みを維持するには、砂浴びが必要不可欠になります。この砂浴びがチンチラを健康的に飼育するうえで重要なポイントの一つになります。チンチラの生息する地域は、とても寒い地方なのでその寒さに耐えるためにとても細く密度の濃い被毛が全身を覆っています。乾燥した空気に対して、被毛に潤いを与えるためにラノリンという分泌物が体表の皮脂腺から分泌されます。自然界では、チンチラは火山灰を使って砂浴びを行い、余分なラノリンを落としています。飼育下で砂浴びをさせずにそのままにしておくと、被毛のツヤを失うだけでなく、毛玉ができベタベタになってしまい、皮膚病の原因にもなります。
砂浴びに用いる砂は、ハムスターや猫の砂では代用できません。とても細かな密度の濃い被毛のためには、砂もとても細かいパウダー状のものを使う必要があります。砂浴びは、可能であれば毎日行わせます。パウダー状の砂は、深さのある梅酒のビンや専用の容器に3~5センチほど敷いてケージの中に入れます。砂浴びの容器は、一日中入れっぱなしにしておくのではなく、夕方から夜にかけての活動する時間帯に30分ほどケージの中に入れます。あまり長い間入れっぱなしにしておくと、必要以上に砂浴びを行ってしまい、油分であるラノリンが落ちすぎるため、乾燥肌になったり、宙に舞った砂は結膜炎などを起こしやすくなります。砂浴びの容器を入れるとすぐにチンチラは、砂浴びを行います。容器の中で、糞や尿をしてしまうこともあるので、ふるいなどにかけていつも清潔にしておきます。


●温度管理

野生のチンチラはとても寒い地方に生息しています。したがってチンチラにとって湿度の高い蒸し暑い日本の夏はたいへん身体に堪えます。チンチラを飼育するにあたり、飼育環境の適温は17~23℃ぐらいです。25℃以上になると動きが緩慢になり、30℃を越えるとぐったりとして熱射病に陥り死亡してしまいます。理想の湿度は30~40%で夏場の湿度の高いムッとするような部屋に置いては絶対にいけません。
北海道や標高の高い地域では、エアコンなどは必要ありませんが、夏場30℃を越えるような地域ではエアコンなどの設備も必要となってきます。エアコンは、部屋の温度を下げるだけでなく、湿度も下げる効果があるのでチンチラにとってはとても快適な環境になります。チンチラのためにどうしてもエアコンが用意できない方は、少しでも室温の低い部屋に置き、扇風機や除湿器をかけるなどして風通しをよくします。また、凍らせたペットボトルや大きさのあるアイスノンをタオルでくるんだものをケージの近くに置くのも有効です。
また、冬場はそれなりの寒さに対する対策も必要となってきます。いくら寒い土地に生活しているからと言っても、自然下では、暖かい場所に積極的に移動したり、集団で暮らしているので仲間同士で暖め合ったりすることもできます。しかし家庭での飼育環境はそのようなこともなかなか難しいですし、敢えて冬場に過酷な環境を用意する必要もありません。冬になって15℃以下に下がるようであれば、何らかの保温対策も考えなければありません。夏場と同じくエアコンでの管理が一番安全で確実ですが、ペット用のパネルヒーターをケージ内に敷いても保温可能です。しかし、コード類はかじってしまい危険なので、かじっても大丈夫な対策をしなければいけません。


●しつけ

動物とコミニュケーションをはかろうと思たっとき、一番考えなければならないことは相手の気持ちを考えることです。イヌやネコと違ってエキゾチックアニマルのそのほとんどは、家畜化された動物ではないので人間の身勝手なつき合い方では、一方的に恐怖心を植えつけてしまうことになります。
チンチラは、やや臆病な性格を持っている半面、好奇心が旺盛で人間が怖いという意識さえ与えなければとても人なつっこくかわいらしい仕草を見せてくれます。チンチラの中には、抱かれても大人しくしている個体もいますが、本来は抱いたり撫でたりしてスキンシップをはかるような動物ではありません。しかし、なにか調子を崩したりして身体検査を行いたいときや、病院へ連れていくときなどどうしても触れなければならないこともあるので、人間に対して信頼感をもった個体にしつけておくことは決して悪いことではありません。
はじめはレーズンなどの好物を使ってケージ越しに手から与えるようにします。そのときに声をかけてから与えるようにすると驚きません。ケージ越しに手から食べるようになれば、ケージを開けて与えるようにしたり、徐々に接している時間を長くしていきます。人間に対して恐怖感を持たなければ、少しずつ優しく顎の下や耳の後ろを撫でていきます。焦らずチンチラを脅かすことのないようにゆっくりと馴らさせていくことが大切です。